老後の生活には毎月いくら必要?

総務省統計局の「家計調査」を元に確認してみよう。

調査によると、60 歳から 64 歳層(2 人以上世帯)の月の平均消費支出は 30 万 9541 円。

最も多く占めるのが「食料」で 7 万 9728 円。

水道光熱費は、2 万 2809 円

被服及び履物は、 1 万 1687 円

保険医療費

60 歳から 64 歳では 1 万 3613 円だが、 85 歳以上では 1 万 8920 円にまで増える。

交通・通信の項目では、自動車関連の費用が 3 万 400 円 

 

 

 

 

いくら年金を受け取ることができる?

 

1. 国民年金の支給額

国民年金の支給額の計算はシンプルです。

国民年金の支給額は、その加入期間のみによって決定さ れます。

国民年金は原則 20 歳から 60 歳になるまでの 40 年間が、保険料納入期間です。

その 40 年間 に、一度も未納や免除がなければ満額の 77 万 9300 円(2018 年 4 月現在)が支給

免除月があ る場合には、以下の計算式に当てはめ算出してほしい。

満額 × (保険料納付月数 + 全額免除月数 × 8 分の 4 + 4 分の 1 納付月数 × 8 分の 5 + 半額納 付月数 × 8 分の 6 + 4 分の 3 納付月数 × 8 分の 7)÷ 40 年(加入可能年数)×12

 

2.厚生年金の支給額

厚生年金の計算は大変難しい。

日本年金機構のホームページのねんきんネットで決められた数字を入力するだけで、支給額がシミュレーションできますので、ある程度、正確な額を知りたい場合には、それを活用してください。

計算式

本来水準方式 平均標準報酬月額 × 乗数 × 平成 15 年 3 月までの払込月数 + 平均標準報酬額 × 乗数 × 平成 15 年 4 月以降の払込月数 ・従前額保障方式 平均標準報酬月額 × 0.0075 × 平成 15 年 3 月までの払込月数 + 平均標準報酬額 × 0.005769 × 平成 15 年 4 月以降の払込月数 この「本来水準方式」「従前額保障方式」の両方を計算し、多い方が支給額となる。厚生年金は、所得 に応じて保険料、支給額が変わります。

 

 

 

今後、年金受給額はどうなる?

老齢基礎年金支給額の推移

 
老年基礎年金支給額は、2011年以降の推移をみてみると、2014年まで減少傾向にあり、54000円程度だったものが、2015年以降になり上昇傾向に転じ、55000円程度となっています。
 
これは、国民年金保険料の未納への罰則が強化されていることも一因となっており、年金保険料の納付が増加していることが支給額上昇に関係していると考えられます。
 
満額としての設定されている額面に関しては、1999年に80万円程度だったのが最高値で、その後減少と上昇を繰り返しているような推移です。2019年では約78万円が受給満額とされています。
 
保険料が年々増額していることを考えると、物価や賃金水準が変動し、全体的な水準としては物価・賃金は上昇傾向にあるということがわかります。

国民年金支給額は減少している?

 


国民年金を含む公的年金は、賦課方式と呼ばれるシステムをとっており、これは現役世代が支払う保険料を財源として高齢者への年金を支払うというものです。
 
少子高齢化が進み、若年層の年金保険料未払いが深刻化するなかで、財源が確保できず年金制度を維持するために、年金支給額を減少せざるを得ないという状況になりつつあります。

 

 

ここでは、厚生年金支給額の推移について確認してみましょう。

厚生年金支給額の推移

 
厚生年金の受給額は1991年に基礎年金として国民年金制度が導入されて以降、支給額が上昇しており1999年に15万円程度になってからは、年々減少傾向をたどっています。
 
2007年には12万円を下回っていますが、その後2017年には15万円弱にまで再度上昇しており、これは物価の上昇などを考えると、年金そのものの水準が上がったとは捉えがたい推移です。

厚生年金支給額は減少している?

 
厚生年金の支給額は、年齢が上がるほど高くなっており、これは過去の年金制度は現行のものよりもかなり有利な条件だったことから、高齢であればあるほど、その支給額が高い傾向にあるということになります。
 
現行の制度下では、改正が実施された影響もあり、徐々に支給額は減少しており、こと男性の支給額はその傾向が強く出ているといえます。

公務員の年金について

 

 

公務員の年金は変わった?

 
公務員の年金制度については、2015年10月に大幅な改正が実施されました。
 
2015年10月以前は、公務員の年金制度は国民年金と国家公務員・地方公務員・私立学校教職員が加入する共済年金から成り立っていましたが、そのうち共済年金が2015年10月から厚生年金に一元化されることになりました。
 
このことから、2015年10月以前と以後をまたいで公務員もしくは私立学校教職員として勤務した場合、年金の算出方法を分けて行うことになるということです。


また、この改正により、共済年金の特徴でもあった「職域加算」が廃止になりました。

公務員の妻はいくらもらえるか?

 
公務員の妻、つまり配偶者の場合、国民年金の第3号被保険者となり、保険料なしで第1号被保険者と同額の国民年金を受給することが可能です。
 
専業主婦となり第3号被保険者となる前に、厚生年金に加入していた期間が1ヶ月以上ある場合は、その加入期間分の厚生年金が上乗せされて支給されます。

 

 

ここでは、年金支給額のこれからとその対策について確認しておきましょう。

年金支給額のこれから

 
先述の通り、少子高齢化が進み、今後もその傾向が続くと想定されるなか、賦課方式の現行の年金制度では、年金の財源不足に陥ることは自明です。
 
これに対処するためには、支給開始年齢を引き上げるか、年金支給額を減額するか、という選択肢が検討されているのが現状ということになります。
 
保険料を引き上げることなく、公的年金の財源を確保するための改正は今後も続くと考えられ、年金支給額が減額される可能性はかなり高いと見込まざるをえません。

どうしていくのがよいか?

 
人生100年時代となり、超高齢化社会において、現状の生活水準を維持するためには、個々人が何らかの対策を講じる必要があります。
 
「働き方改革」が進み、また年金制度の改正により、70歳以降も働き続け、年金受給を繰り下げることが可能になる流れがあります。
 
つまり、いかに長く働き続けられるか、そして公的年金ではなく個人年金をいかに活用して資産運用を早いタイミングで行なっていくかが、これからの時代を生き抜くポイントになると考えられるでしょう。
 
2050年までには、現役世代収入の5割に年金額を安定させるという政府の方針を踏まえて、世帯収入が半減する年金収入を基盤に、老後プランを立てて、個々で対策をする必要があるということです。